入院で起こりやすいせん妄とは
高齢者の入院は筋力の低下や認知機能の低下など、退院後の生活に大きな影響を与えるような様々なことが起きる可能性があります。特に入院中に起こり得ることとして突然よくわからないことをいい始めたり、周囲の人たちが見えないものに対して見えていると発言する高齢者もいて、家族は認知症ではないかと疑い不安になるケースもあるのです。しかしこれは認知症ではなくせん妄である場合もあります。
せん妄とは病気など外部からの刺激により引き起こされる意識障害の一つで、徐々にこのような症状があらわれる訳ではありません。短期間でまるで別人にでもなったかのような状態になる特徴があるのです。せん妄の症状にはこの他にも興奮状態になったり、他者と暴言などによりトラブルが起きる、また点滴を抜いたり転倒するなどの事故に繋がることもあります。これらが引き起こされる原因は一つに絞られる訳ではなく、例えば高齢者の身体的機能の低下や病気や治療によるストレス、環境の変化や治療に必要な薬剤の使用によるものなど、様々な要因が複合的に影響しているのです。
入院をしたことによりせん妄になったのか、認知症の発症や進行による症状なのかは医師による診断が求められますが、家族としてはどのような違いがあるのか知っておく必要があるものです。認知症は意識は正常でありながら、記憶や認知機能が障害をおった状態です。せん妄は急性疾患や中毒などにより意識障害が起きている状態で、これは脳の急性機能不全なので早急な治療やケアが求められます。